飽和脂肪酸を減らすには?健康のための効果的な食生活

知識・雑学

飽和脂肪酸は私たちの日常の食事にしっかりと根付いています。主に動物性食品、例えば牛肉やチーズなどに多く含まれるこの脂肪酸は、適量であれば体のエネルギー源として利用され、細胞の構造や機能を維持する役割を果たします。

しかし、過剰に摂取すると健康リスクが高まることが知られています。特に、飽和脂肪酸の過剰摂取は心疾患のリスクを高める可能性が指摘されています。

そこで、この記事では「飽和脂肪酸 減らすには」どうすれば良いのか、健康的な食生活を送るための具体的な方法を詳しく解説します。健康を維持し、長生きするための食生活の秘訣を是非ご覧ください。

記事のポイント

  1. 飽和脂肪酸についての基本解説と、その摂取が体に及ぼす影響
  2. 飽和脂肪酸の過剰摂取が引き起こす健康リスク
  3. 飽和脂肪酸を多く含む食品と、それを減らすための食事選択の方法
  4. 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いとその健康への影響

 

飽和脂肪酸を減らす方法とは?

飽和脂肪酸とは何か、その摂取が体に及ぼす影響、そしてその摂取を減らす方法について詳しく解説します。健康的な生活を送るためには、飽和脂肪酸の摂取量に注意を払うことがとても大切です。

飽和脂肪酸とは? 摂りすぎの危険性

飽和脂肪酸とは、化学的には一重結合のみを有する脂肪酸で、主に動物性食品、例えば牛肉やチーズなどに多く含まれています。人間の体内ではエネルギー源として利用され、細胞の構造や機能を維持する役割を果たします。

しかし、飽和脂肪酸はエネルギー密度が高く、1グラムあたり約9キロカロリーとなります。これは、他の主要な栄養素であるタンパク質や炭水化物(それぞれ1グラムあたり約4キロカロリー)の2倍以上のエネルギーを提供します。

そのため、飽和脂肪酸の過剰摂取は、全体のカロリー摂取量を増加させ、肥満の原因となる可能性があります

さらに、飽和脂肪酸の過剰摂取は、体内のコレステロールバランスを崩し、特にLDLコレステロール(いわゆる「悪玉コレステロール」)の増加を引き起こします。これは、動脈硬化や心疾患のリスクを高める可能性があり、健康に対する深刻な脅威となります。

これらの理由から、飽和脂肪酸の摂取量には十分な注意が必要であり、健康的な食生活を維持するためには、飽和脂肪酸の摂取を適度に制限することが推奨されます。

動物性食品、牛肉やチーズ

飽和脂肪酸 摂りすぎたらどうなる?

飽和脂肪酸は、前述の通り体の機能を維持するのに必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると動脈硬化や心疾患のリスクが高まる可能性があります

また、飽和脂肪酸はエネルギー密度が高く、過剰に摂取するとカロリー摂取量が増え、体重増加につながる可能性があります。

具体的には、飽和脂肪酸の過剰摂取は、血液中の中性脂肪と悪玉コレステロールであるLDL-コレステロールを増加させる一方で、善玉コレステロールであるHDL-コレステロールを減少させ、肥満や脂質異常症を引き起こします

LDL-コレステロールが増えると血管にたまりやすくなり、動脈硬化につながります。中性脂肪は動脈硬化の直接の原因にはなりませんが、LDL-コレステロールを増加させ、HDL-コレステロールを減少させるため、動脈硬化を進行させる要因となります。

また、内臓脂肪となって蓄積されると脂肪細胞から悪玉物質が分泌され、それらの働きで血管の収縮、インスリンの働きの低下などを引き起こし、高血圧や高血糖の原因になることもわかっています。

飽和脂肪酸の摂取量については、厚生労働省が基準を定めています。18歳以上の男女の場合、全体の食事に占める脂質の割合は20%以上30%未満、飽和脂肪酸の割合は7%以下が目標とされています。

以上のことから、飽和脂肪酸の摂取量には十分注意が必要であり、特にダイエットを考える上でも、飽和脂肪酸の摂取量は重要なポイントとなります。

摂りすぎた時の対処法

飽和脂肪酸を摂りすぎた場合、まずは食事から摂取する飽和脂肪酸の量を減らすことが重要です。具体的には、肉や乳製品の摂取量を減らし、代わりに魚や野菜、果物などを多く摂るようにしましょう

飽和脂肪酸の目標量は、エネルギー合計に対して 7.0%未満とされています。例えば、20 代女性で目標摂取エネルギーが 1540kcal の場合、1 日の飽和脂肪酸の目標量は 11.98g 未満となります。これは、チョコデニッシュ 1 個(飽和脂肪酸量:約16g)で簡単に超えてしまう量です。

また、適度な運動も効果的です。運動によりエネルギー消費が増え、体内の脂肪が燃焼されるため、飽和脂肪酸の過剰な蓄積を防ぐことができます。

特に、飽和脂肪酸の中でも中鎖脂肪酸は、脂肪の蓄積を抑制する働きがあります。中鎖脂肪酸は肝臓に運ばれてすぐにエネルギーとして分解されるため、体内に蓄積されにくくなります。

摂りすぎで太る?ダイエットとの関係は?

飽和脂肪酸はエネルギー源となる一方で、過剰摂取は肥満や脂質異常症の原因となる可能性があります。これは、飽和脂肪酸が血液中の中性脂肪やコレステロール値を上昇させる働きがあるためです。

特に、牛脂、ラード、ヤシ油、パーム油、牛乳、バターなど、飽和脂肪酸が多く含まれる食品を過剰に摂取すると、全体的なカロリー摂取量が増え、体重増加につながる可能性が高まります。

そのため、飽和脂肪酸の摂取量には注意が必要で、バランス良く摂ることを意識することが重要です。飽和脂肪酸は必須脂肪酸ではないため、食事からの摂取は必須ではありません。

これは、体内で自己生産可能であるためです。したがって、飽和脂肪酸の摂取を抑えることでl、健康的なダイエットを実現することが可能です。

また、飽和脂肪酸が多い食品の摂取を控え、代わりに不飽和脂肪酸が多い食品を摂るようにすると良いでしょう。加えて適度な運動によりエネルギー消費を増やし、体内の脂肪の燃焼を促すことも効果的です。

飽和脂肪酸の多い食品ランキング

不飽和脂肪酸の違い

飽和脂肪酸は、牛脂、ラード、ヤシ油、パーム油、牛乳、バターなど、動物性の脂に多く含まれています。

一方、不飽和脂肪酸は、魚の脂や植物性食品に多く含まれます。体内で合成できないαリノレン酸・リノール酸・アラキドン酸などの多価不飽和脂肪酸は、食品から摂取する必要があります。

不飽和脂肪酸は、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、LDL コレステロールを減らすなど、さまざまな健康効果があります。

特に、オリーブ油に多く含まれる一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸は、血液中の LDL コレステロールを下げる効果が報告されています。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の摂取バランスは、健康維持にとても重要です。

飽和脂肪酸を含まない食べ物は?植物性食品が健康の鍵

飽和脂肪酸を含まない食べ物として、植物性食品が注目されています。

特に、果物、野菜、全粒穀物、豆類は、飽和脂肪酸の含有量がほぼゼロであると同時に、健康に有益な不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。

これらの食品は、飽和脂肪酸を避けつつ、必要な栄養素を摂取するための理想的な選択肢と言えます。さらに、これらの食品は食物繊維やビタミン、ミネラルといった他の栄養素も豊富で、全体的な健康維持に寄与します。

例えば、リンゴ1個には飽和脂肪酸が0.3gしか含まれておらず、その一方で食物繊維が4.4gも含まれています。

また、ほうれん草100gには飽和脂肪酸が0.1gしか含まれていない一方で、ビタミンKが604μgも含まれています。これらの具体的な数字からも、植物性食品が健康によいことが分かります。

 

飽和脂肪酸を減らす具体的な方法

飽和脂肪酸を減らすための具体的な方法について解説します。食事の選び方や生活習慣の改善など、日常生活の中でできることから始めてみましょう。

飽和脂肪酸を減らす食べ物、食事の選択は?

飽和脂肪酸を控えるための食事選択は、健康的な食生活を維持するために重要です。以下に、飽和脂肪酸を減らすための具体的な食べ物、食事について紹介します。

肉の選び方:
肉類は飽和脂肪酸の主な供給源です。豚や牛ではバラ肉よりもロース、もも、ヒレ肉の順に飽和脂肪酸の含有量が少なくなります。鶏肉では、もも肉よりも胸肉が推奨されます。また、鶏肉の皮にも飽和脂肪酸が含まれているため、取り除くことが推奨されます。
乳製品の選び方:
牛乳やヨーグルトは低脂肪または無脂肪、あるいは豆乳にすることで飽和脂肪酸を控えることができます。大豆製品は乳製品よりも飽和脂肪酸をカットできるため、風味の変化に抵抗がない方は取り入れてみると良いでしょう。
調理油の選び方:
バターの代わりにオリーブ油を使用することも一つの方法です。オリーブ油はバターと比べて飽和脂肪酸が控えめで、調理時に使うだけでなく、パンにつけるのもおすすめです。
パンの選び方:
デニッシュ系のパンやお菓子パンよりもシンプルなベーグルや食パンを選べば飽和脂肪酸を抑えることができます。
魚料理の導入:
魚は肉に比べて飽和脂肪酸が少ないので、食べる回数を増やすことが推奨されます。調理が大変と感じる方は、スーパーで売られているお刺身の盛り合わせ、お惣菜の焼き魚や煮物などを選ぶと良いでしょう。

脂質の少ない食べ物ランキングとしては、ご飯や麺類、ささみや魚介類、豆腐や納豆などが上位に挙げられます。

これらの食事選択を踏まえて、飽和脂肪酸を控えるための1日の食事例を考えてみましょう。例えば、朝食にトーストにバターの代わりにオリーブ油を塗り、牛乳の代わりに低脂肪牛乳を摂取するなど、飽和脂肪酸の摂取量を約60%カットすることが可能です。

これらの選択は、健康的な食生活を維持するために、飽和脂肪酸の摂取を適度に制限することが推奨されます。

飽和脂肪酸を分解する食べ物とは?

和脂肪酸の分解を助ける食品として、特に食物繊維が豊富な食品が注目されています。食物繊維は、腸内での脂肪の吸収を抑制する役割を果たし、飽和脂肪酸の摂取量を制限するだけでなく、体内に取り込まれた飽和脂肪酸の一部を排出する手助けとなります。

食物繊維が豊富に含まれている食品としては、全粒穀物、豆類、果物、野菜などが挙げられます。これらの食品は、飽和脂肪酸の分解を促進し、健康的な体内環境を維持するための重要な要素となります。

コレステロールを下げる食品ランキング

コレステロールを下げるためには以下の食品を摂取することが推奨されています。

青魚や大豆製品
これらの食品には不飽和脂肪酸という脂質が含まれ、コレステロール値を下げるのを助けてくれます。また、これらの食品を食べる回数が増えることで、自然と肉類を食べる回数を減らし、飽和脂肪酸の摂取量を減らすのにも役立ちます。

野菜やきのこ、海藻類
これらの食品に含まれる食物繊維も十分に摂取しましょう。食物繊維は余分な脂質を吸着して体外への排出を助けてくれるだけでなく、コレステロールから作られる胆汁酸の排泄を促して、コレステロール値を下げてくれる働きがあります。

また、以下の食品はコレステロール値が気になる方が控えたいものの例です:

肉類:
豚・牛の脂身、鶏の皮、牛ばら肉、豚ばら肉、ソーセージ、ベーコン
油脂類:
バター、ラード(豚脂)、牛脂、マーガリン、ファットスプレッド(チョコレートスプレットなど
乳類:
生クリーム、ホイップクリーム、チーズ、アイスクリーム
菓子類:
チョコレート、チーズケーキ、バターケーキ、パイ、タルト、シュークリーム、スナック菓子
調味料類:
マヨネーズ、ハヤシルウ、カレールウ

これらの食品は飽和脂肪酸が多く含まれており、コレステロール値を上げる可能性があります。そのため、これらの食品の摂取を控え、上記で挙げた食品を積極的に摂取することで、コレステロール値を下げることが可能です。

飽和脂肪酸を減らすサプリメントの選び方

オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸で、心筋梗塞や脳卒中のリスクを減少させる効果があるとともに、糖尿病の遺伝的リスクを打ち消す可能性があります。オメガ3脂肪酸には、DHA、EPA、α-リノレン酸などが含まれ、血圧の低下や血栓予防、アレルギー抑制の効果が期待されます。青魚やエゴマ油、亜麻仁油に多く含まれています。

不飽和脂肪酸、オメガ3脂肪酸を含む食品食物繊維
食物繊維はコレステロール値を下げる効果があります。野菜や全粒穀物、豆類などに多く含まれています。

ステロールやスタノール
ステロールやスタノールは、コレステロールの吸収を抑える効果があります。これらは一部のマーガリンやサプリメントに添加されています。

ただし、サプリメントはあくまで食事の補助であり、食事から得られる栄養素を置き換えるものではありません。そのため、サプリメントを利用する場合でも、食事のバランスを考えることが重要です。また、サプリメントの摂取については、医師や栄養士と相談することをおすすめします。

飽和脂肪酸とヨーグルトの関係

ヨーグルトは乳製品であるため、自然に飽和脂肪酸を含むという特性があります。しかしながら、ヨーグルトには乳酸菌が豊富に含まれています。

これらの乳酸菌は腸内環境を整える効果があり、その結果として飽和脂肪酸の吸収を抑制し、体内のコレステロール値の上昇を抑える助けとなります。

したがって、適量のヨーグルト摂取は飽和脂肪酸の摂取量をコントロールする一助となると言えます。

飽和脂肪酸と魚の関係

魚は、飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、特にオメガ3脂肪酸が多く含まれています。オメガ3脂肪酸は、コレステロール値を下げる効果があり、飽和脂肪酸の多い食品の代わりに魚を摂ることで、飽和脂肪酸の摂取量を抑えることができます。

また、魚は飽和脂肪酸が少ないため、飽和脂肪酸が血液中の中性脂肪やコレステロール値を上昇させる効果を抑制します。そのため、バランス良く魚を摂ることを意識することは健康維持にとってとても大切です。

飽和脂肪酸と魚の関係

牛乳と飽和脂肪酸の関係

牛乳は、飽和脂肪酸が多く含まれる食品の一つですが、その一方で、カルシウムやビタミンDなどの重要な栄養素も豊富に含まれています。

よって、全脂肪の牛乳ではなく、低脂肪の牛乳を選ぶなどして、飽和脂肪酸の摂取量を抑えつつ、必要な栄養素を摂取するというのもおすすめです。

飽和脂肪酸 減らすには?総括

脂質を摂りすぎないようにし、飽和脂肪酸を減らすには、食事の選び方が重要です。

飽和脂肪酸が多く含まれる食品の摂取量を減らし、代わりに不飽和脂肪酸が多い食品を多く摂るようにしましょう。また、食事の量を適切にコントロールすることをおすすめします。食事の量が多すぎると、必要以上に脂質を摂取してしまう可能性があるからです。

食事の量と質、運動など日頃の意識を高めて健康な生活を送れますように。

以下に本記事のポイントをまとめました。

  • 飽和脂肪酸は主に動物性食品に多く含まれ、エネルギー源として利用される
  • 飽和脂肪酸の過剰摂取は肥満の原因となる可能性がある
  • 飽和脂肪酸の過剰摂取は体内のコレステロールバランスを崩し、心疾患のリスクを高める可能性がある
  • 肉類の選び方に注意し、バラ肉よりもロース、もも、ヒレ肉を選ぶ
  • 鶏肉では胸肉を選び、皮は取り除く
  • 乳製品は低脂肪または無脂肪、あるいは豆乳を選ぶ
  • バターの代わりにオリーブ油を使用する
  • デニッシュ系のパンやお菓子パンよりもシンプルなベーグルや食パンを選ぶ
  • 魚は肉に比べて飽和脂肪酸が少ないので、食べる回数を増やす
  • 飽和脂肪酸を含まない食べ物として、果物、野菜、全粒穀物、豆類を多く摂る
  • 適度な運動によりエネルギー消費を増やし、体内の脂肪の燃焼を促す
  • 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の摂取バランスは健康維持に重要である

 

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